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一戸慶乃

【脚本家・一戸慶乃】金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』の脚本を担当!

 1011日スタートの金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)。弟のために生きる兄と自閉スペクトラム症の弟、そんな兄弟の前に突然「ライオン」と名乗る謎の男の子が現れる。この出会いをきっかけに彼らはある事件に巻き込まれていく——。完全オリジナル脚本で描かれるヒューマンサスペンスの脚本を担当する一戸慶乃に作品への思いや脚本家を目指したきっかけなどを聞いた。

 

■脚本家を目指したきっかけを教えてください!

“自分に何ができるんだろう”って迷っていた時期が20代前半にあって、その時期に「よしもとクリエイティブカレッジ」という構成作家やテレビ制作を勉強する学校に1年間通いました。その中で脚本を勉強する授業が1コマあったんですがすごく楽しくて、それがきっかけでした。小さい頃は本を読むことが得意ではなく、本を開いているうちに自分で勝手にストーリーを妄想してしまう子どもでした。

 

■派遣社員として働きながら舞台やテレビの企画・制作を学んでいたとのことですが、仕事をしながら学ぶことで脚本家として生かされたことはありますか?

今も働きながらやっているので、ゆくゆくは脚本の仕事だけでやっていきたいという気持ちはあります。“一般的な会社だったらこういう考え方するんだ”っていうことを取り入れながら、一つの環境にとらわれずに視点を変えることができるという意味ではすごく良いなと思います。小さいお子さんがいらっしゃるママさんの話を聞く機会もあるので、 “こういう暮らしをしているんだ”とか“こういうことで悩んでいるんだ”ということを世間話で知ることが多いですね。

 

■好きな作品や脚本家はいらっしゃいますか?

憧れている脚本家の方は金子茂樹さんです。『コントが始まる』や『俺の話は長い』を書かれているのですが会話劇がただただ面白いです。物語が次から次へと展開するわけではないのにずっと見ていたいと思える作品を書かれるすごい方だなと思っていて大好きです。

 

■休日はどう過ごしていますか? 趣味はありますか?

今は平日と休日という境目があまりないんですけど、これという趣味も正直なくて・・・。実家が近いので土日に実家に帰って母親のご飯を食べてパワーをもらうことがあります。実家でも脚本を書いたりするんですけど、一瞬の休息になります。『ライオンの隠れ家』の執筆が終わって落ち着いたら旅行に行きたいなと思っていますし、誕生日のときに親がマッサージ店で使えるチケットをプレゼントしてくれたので絶対行くぞっていう気持ちで頑張っています(笑)。

 

■脚本家としての喜びや楽しさを教えてください。

辛くて悩ましいなという気持ちと隣合わせではあるんですけど、書くこと自体は楽しいです。書く時間をどれだけ捻出できるか考えながらやっています。今の時点では『ライオンの隠れ家』がまだOA前なので、OAが始まったらまた違う喜びを感じられるんじゃないかなと思います。予告編を見たんですけど、「文字として書いていたものがキャラクターとしてそこにいることで良さが倍増されるんだ」と実感できたので、OAがとても楽しみです。脚本を書き始めたときはキャストがまだ決まっていなかったんですけど、だんだんキャストが決まっていくにつれて“だったらこういうお芝居になるのかな”とか想像しながら書くことができましたし、特に主人公たちを囲むキャラクターが個性的だったりするので、会話やリアクションの面白さ、“この人だったらこういうテンションいけるかな?”ということを打ち合わせの中で話しながら進めているので、より書きやすくなったなと思っています。

 

 

■『ライオンの隠れ家』が連続ドラマデビュー作になりますが、決まったときの心境はいかがでしたか?

実は“決まりました!”っていう瞬間がなかったんです。城戸賞で準入賞を受賞した『寄生虫と残り3分の恋』という作品がコンクールのホームページに掲載されているんですけど、それを見てくださったプロデューさんから「一緒に企画開発をやりませんか?」とお声がけいただいてプロット開発から参加させていただくことになったんです。「脚本が徳尾(浩司)さんに決定しました!」という中で、一緒に本打ちに参加し、ずうずうしくもいろいろ意見など出していたら共同で、チームで作ってみるのはどうですか?」となった感じだったので、名前が初めて台本に載ったときは“連ドラデビュー出来て良かった”と嬉しかったです。

 

■『ライオンの隠れ家』はオリジナルストーリー作品ですが、オリジナル作品を書くときに心がけていることはありますか?

原作ものと共通していると思うんですけど、最初に企画書をいただいて“自分がどんなところに惹かれたか”とか“どんなところにワクワクしたか”とか“どういうふうに膨らませていきたいか”と感じたことを忘れないように最後までやろうと思っています。オリジナルだからいろんな方向に行けて幅が広い分、核となるとことを忘れないようにしようと思っていて、うまくストーリーが進まなくてこうした方がいいんじゃないかという意見が出たときに“もともとキャラクターが目指していたことなのか” というところに立ち返るように意識をしています。

 

 

■脚本は徳尾浩司さんと共同執筆されていますが、どのような方法で書かれているのでしょうか?また1人で書かれているときとの違いはありますか?

どちらか1人が初稿を書いて、だいたいの方向性が決まってきたらもう1人にバトンタッチして、自分の色を入れたり打ち合わせで出たことを反映させながら書く・・を繰り返す感じです。徳尾さんがいてくださる安心感と今までやってこられた経験があって客観的な目で見てくださるので私も遠慮なくアイデアを出したりすることができています。徳尾さんの書かれているこの部分を活かしたいなって思うところを受けて次に自分も書いているのですごく勉強にもなりますし楽しくできています。1話を書き始める時点で大まかなゴールというか方向性はあったんですけど、キャラクターたちが成長してきているので芯の部分は変わることなく“どういう風に進んでいくのが彼らにとって良いんだろう”ということを考えながら最初に決めたゴールに囚われすぎずに少しずつゴールに向かって進んでいる感じです。

 

■『ライオンの隠れ家』はヒューマンドラマとスリリングなサスペンスという相反する内容が心地よく絡み合うストーリーですが、書く上で特に意識している部分はありますか?

本当に“ヒューマン”と“サスペンス”は相反するものなのでめちゃくちゃ難しくて、そこはいつもみんなで悩んでいるところでもあります。サスペンスは書けば書くほど物語が展開していくので書きやすいんですけど、やっぱりキャタクターの心情だったり、関係性を大事にしたいと思うので絶対的にヒューマンを大事にしようと思っています。

 

 

■脚本の内容を考える際はどのような状況で考えますか?

私はずっと机に向かっています。ファミレスとかカフェでも書くんですが、ずっと居ることができないので家に戻って机で書いたりします。でもトイレに立った時に「こういう風にしよう」と思いつくこともあるので、悩んだ時はお風呂に入ったり、別の行動をして動いた方がアイデアが出やすいかもしれません。それでもアイデアが出ない時は焦っても良いものが書けないので一回無になるために寝てしまいます(笑)。普段の生活の中でアイデアになりそうなことはメモアプリにメモっています。自分で書くのはラブストーリーとかヒューマン作品が多いんですけど、先ほど言ったようにコメディも好きなのでいつかコメディにも挑戦してみたいです。

 

■最後に作品をどう楽しんでほしいと思いますか?ポイントなどありましたら教えてください!

サスペンスもあってハラハラするところもありますがヒューマンの部分を大事に書いていて、ライオンくんも含めてメインキャストの3人は見守りたくなるような存在だと思うので彼らの生き方を温かく見守って欲しいです。

 

 

 

<作品紹介>

金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』

10月11日(金)スタート 毎週金曜日22:00~ TBS

 

<第1話あらすじ>

市役所に勤務している小森洸人は、自閉スペクトラム症の弟・美路人と二人で凪のような平穏な日々を過ごしていた。両親を早くに亡くしてからは、常に弟のルーティーンに合わせ、同じ時間に起き、家を出て、市役所の仕事を終えて、デザイン会社で働く美路人を迎えに行く生活を送っていた、そんなある日――兄弟の前に突然「ライオン」と名乗る男の子が現れる。

家に上がり込み「ここで暮らす」と言うライオンに美路人はパニックになってしまう。洸人は変化が苦手な美路人のため、そしていつも通りの日常を取り戻すため、男の子を警察に保護してもらおうと考える。だが、ライオンから渡されたスマホに「じゃあ、あとはよろしく」と差出人不明のメッセージが届き、そのメッセージから、忘れていたある人物を想起してしまう――さらに、ふとした瞬間にライオンの体にアザがあることに気がつく。その頃、とある県で、橘祥吾必死の形相で行方不明届を提出していた。次第にそれは“母子行方不明事件”として世間で取り沙汰されるようになり――一体誰がライオンを置いていったのか…ライオンは何者なのか…嵐のようにやってきたライオンに戸惑う洸人と美路人だったが、徐々に距離を縮め、関係性が変化していく。どんな境遇でも大切なものを守るために必死で生きる人たちの家族愛や兄弟愛を描くヒューマンサスペンスが今、幕を開ける!

 

<プロフィール>

一戸慶乃(イチノヘヨシノ)

199186日、東京京都出身。

俳優専門学校を卒業後、一般企業で派遣社員として勤めながら、舞台やテレビの企画・制作を学ぶためよしもとクリエイティブカレッジに入学。

その授業の一環として、学生舞台の脚本を手掛けたことをきっかけにシナリオ執筆をスタート。

現在は、制作進行中のドラマ・映画の脚本を執筆中。

 

【受賞歴】

■伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2020 奨励賞 『5.2km、群青の街』

■第47回城戸賞 準入賞 『寄生虫と残り3分の恋』

■第3回恵那峡映画祭シナリオ部門 入賞 『金魚鉢に春』

■第35回フジテレビヤングシナリオ大賞 最終選考 『東京バンジー』